大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(ウ)107号 判決

被申立人(仮処分債権者)申立人(仮処分債務者)間の八日市場区裁判所昭和十八年(ト)第二二号不動産仮処分命令申請事件につき、同裁判所が昭和十八年六月十日なした仮処分決定はこれを取消す。

参加人の参加申出はこれを却下する。

訴訟費用は参加に因つて生じた部分は参加人の負担とし、その余は被申立人の負担とする。

本判決は第一項の部分に限り仮りに執行することができる。

二、事  実

申立人代理人は、主文第一、二項同趣旨の判決並びに主文第一項の部分につき仮執行の宣言を求め、その理由として、被申立人は、申立人を債務者として八日市場区裁判所に対し別紙目録<省略>記載の物件につき仮処分命令を申請したが、右は同裁判所昭和十八年(ト)第二二号事件として審理され、昭和十八年六月十日別紙目録記載物件について処分禁止の趣旨の仮処分決定があつた。しかし、右仮処分事件の本案訴訟である千葉地方裁判所八日市場支部昭和十九年(ワ)第二五号、不動産所有権移転登記並びに動産引渡請求事件は審理の結果、昭和二十五年七月二十一日同裁判所において、被申立人の請求を棄却する旨の判決の言渡があり、これに対し被申立人は東京高等裁判所に控訴の申立をしたのであるが、右判決は同裁判所においても取消される虞がないものと考えられる。以上の次第で、結局、本案訴訟における右のような結果は、民事訴訟法第七百四十七条、第七百五十六条にいわゆる仮処分のあつた後、事情の変更があつたものと解すべきであるから、本件仮処分決定は取消さるべきものであると陳述した。

参加人は、参加申出の理由として、申立人に対して有する被申立人の別紙目録記載の物件に対する権利の譲渡を受けた参加人は、本案訴訟である前記訴訟に当事者として参加し、係争中であるが、本件仮処分取消の訴訟においても右同様当事者として参加を申出でる次第である旨陳述した。

被申立人は、適式の呼出を受けたにもかかわらず、昭和二十六年六月七日午前十時の本件口頭弁論期日に出頭しない。

三、理  由

まず、参加申出の適否について考える。参加の趣旨によると、参加人は、本件申立人に対して有する被申立人の本案訴訟の目的物の全部の権利の譲渡をうけ、これが権利者となつたので、本案訴訟すなわち千葉地方裁判所八日市場支部昭和十九年(ワ)第二五号不動産所有権移転登記等請求事件において当事者として参加し、訴訟は審理の結果、第一審裁判所では敗訴をしたが目下東京高等裁判所に控訴提起中であるが、本件仮処分の取消の訴訟においても、右同様当事者として参加するというに在るところ、民事訴訟法第七十一条後段の規定によつて、他人間の訴訟に当事者として参加することができるためには、当該訴訟の訴訟物たる物又は権利の全部又は一部が自己の権利たることを主張し、該権利を訴訟物として訴の提起者の立場において自己に有利な判決を要求することを要するものである。しかるに仮処分の取消の訴訟はかような意味において本案訴訟の目的物を訴訟物とするものでないことはいうまでもなく本案訴訟における請求権を保全するため、なされた仮処分の裁判の取消をその目的とするに過ぎないばかりでなく、本件においては参加人は本件仮処分の維持を主張するにすぎないもので、少しも訴の提起者の立場における当事者としての参加の要件を具えるものでないことは主張自体において明白であるから、本件参加の申出は不適法であるといわなければならない。よつてこの申出はこれを却下すべきである。

被申立人は、前記の口頭弁論期日に出頭しないから民事訴訟法第百四十条第二項第一項によつて、申立人の主張事実はこれを自白したものと看做すべきである。そして右事実によると本件仮処分後において、民事訴訟法第七百四十七条、第七百五十六条に、いわゆる、事情の変更があつたものということができるから、申立人の本件申立は理由があるものである。

よつて、訴訟費用につき民事訴訟法第八十九条、仮執行の宣言につき同法第七百五十六条の二を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 中島登喜治 小堀保 原増司)

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